解説

海外のネットサービスと消費税(電気通信利用役務・リバースチャージ)

執筆 公認会計士・税理士 中村勇樹|2026/10/09 時点の法令で確認

要点

  • ネットで受けるサービスは、海外の会社からでも 課税となる
  • 請求書などに「リバースチャージ」の表示があれば、消費税対象外 (ただし、課税売上割合95%未満なら特殊な処理が必要)
  • 詳しい判定は「会計処理の判定」を見てください

電気通信利用役務とは

いわゆるWebサービスです。

インターネットなどの回線を通じて提供されるサービス(消費税法2条1項8号の3)

このサービスに該当すると、消費税判定がややこしくなります(後述)。 電気通信利用役務の判定ポイントは、ネットで届いているものが、そのサービスの中身そのものかどうかです。普段使っているサブスクの多くがここに入ります。

○ 該当する

  • 電子書籍・新聞
  • クラウドのソフト・保存
  • ネット広告
  • ネットショップへの出店

× 該当しない

  • 電話・回線そのもの
  • ソフトの制作
  • 資産の運用・ネットバンキング
  • 調査を頼んで結果を受け取る

相手が海外でも、消費税課税になる

Webサービスは国内取引扱い

消費税法4条3項3号(平成27年10月1日から)

ふつうは相手が海外だと、消費税不課税です。ただしWebサービスは異なり、海外の会社から受けるサービスでも、国内の取引と見做して消費税課税になります。

判定は細分化される

とはいえ処理確定にはもう少し判定が必要。 電気通信利用役務は、さらに「事業者向け」と「消費者向け」に分かれます。「事業者向け」にあたると、消費税を納める人が入れ替わり、必要な会計処理がかわります(後述)。

この仕組みをリバースチャージ(納税義務の逆転)といいます。

事業者向けに当たるかは、請求書の表示で見る

「事業者向け」にあたるのは、「サービスの性質や取引の条件から見て、受け取るのが通常は事業者に限られるもの」です。使っている側からは判断がつきません。

確実に判定するなら請求書を見ます。事業者向けのサービスを提供する海外の会社には、リバースチャージであることを表示する義務があります(消費税法62条)。

INVOICE

Online advertising service¥100,000

リバースチャージ対象(消費税は受け手が納める)

請求書のイメージ

会計処理の判定

海外の会社からの電気通信利用役務の消費税は以下のように判定して処理してください。

  1. Q1

    請求書などに「リバースチャージ」の表示がある?

    はい事業者向け。Q2へ

    いいえ消費者向け。Q3へ

  2. Q2

    Q1が「はい」(事業者向け)のとき

    簡易課税、または課税売上割合95%以上の課税期間?

    はい消費税不課税

    いいえリバースチャージを適用する

  3. Q3

    Q1が「いいえ」(消費者向け)のとき

    相手がインボイス登録している?

    はい適格課税仕入 仕入税額控除できる

    いいえQ4へ

  4. Q4

    Q3が「いいえ」のとき

    1回の支払いが税込1万円未満?

    はい少額特例の対象になる事業者なら、適格課税仕入扱い

    いいえ不課税扱い(経過措置も使えない)

全体を1枚にすると、次の表になります。

相手が海外の会社で、取引が電気通信利用役務

  • 消費者向け(リバースチャージの表示なし) › インボイス登録している

    適格課税仕入 仕入税額控除できる

  • 消費者向け(リバースチャージの表示なし) › インボイス登録していない › 税込1万円以上

    不課税扱い(経過措置も使えない)

  • 消費者向け(リバースチャージの表示なし) › インボイス登録していない › 税込1万円未満

    少額特例の対象になる事業者なら、適格課税仕入扱い

  • 事業者向け(リバースチャージの表示あり) › 簡易課税、または課税売上割合95%以上

    消費税不課税

  • 事業者向け(リバースチャージの表示あり) › 上記以外

    リバースチャージを適用する

リバースチャージの会計処理

対象になるのは、一般課税で、課税売上割合が95%未満の課税期間だけです。

リバースチャージの会計処理は、たとえば、海外の会社にネット広告費を10万円払ったときは、次のようになります。

借方金額貸方金額
広告宣伝費100,000普通預金100,000
仮払消費税10,000仮受消費税10,000

払った10万円はそのまま費用にし、その10%を仮払消費税と仮受消費税の両方に立てます。海外の会社が日本に納めない代わりに、受け取った側が「納める側」と「控除する側」の両方を引き受けます。

両建てでも、納める税が増えることがある

仮払と仮受を同じ額で立てるので、申告には響かないように見えます。ところが、納める側の10,000円は全額かかるのに、控除する側は課税売上割合の分しか引けません。課税売上割合が80%の会社(一括比例配分方式)なら、次のようになります。

申告書で金額
納める消費税100,000円 × 10%10,000
控除できる消費税10,000円 × 課税売上割合80%△8,000
納める税が増える額2,000

課税売上割合95%以上なら、そもそもリバースチャージの対象外(なかったものとされる)なので、この差は生まれません。「95%以上の会社は」消費税不課税でいいのはこのためです。

根拠

2026-10-09時点の法令・通達・国税庁の公表資料に基づいて書いています。個別の取引への当てはめは、 事実関係によって結論が変わることがあります。