解説

領収書の保管の仕方(社長向け)

執筆 公認会計士・税理士 中村勇樹|2026/11/02 時点の法令で確認

要点

  • 領収書は、税金が戻ってくる券です。1枚で、払った額の3割ほどが消費税と法人税などの形で戻ります。
  • お金が出たら、同じ額の領収書を箱に入れます。箱の中のお金と領収書を足すと、いつも同じ額になり、なくしていないかがすぐ分かります。
  • 領収書が出ない支払いは、出金伝票を書いて、自分で券を作ります。

領収書1枚で、約3割の税金が戻る

領収書は、金券のようなものと考えてください。
経費の領収書があると、税金(法人税と消費税)を下げることができます。 会社で使う文具を3,300円で買うと、950円の税金がもどってきます。

文房具を3,300円で買った金額
消費税3,300円 × 10/110300
法人税など税抜3,000円 × 約22%約650
戻る税金約950

金券と思って、箱にためる習慣をもつ

楽で確実なコツは、ためておく箱をつくることです。財布に一時保管してもいいですが、会社に経費領収書専用の箱を置いてください。

会社の箱と財布を合わせて、1つの仮想エリアと考えます。このエリアからお金が出たら、同じ額の領収書(金券)をエリアへ戻すイメージをもってください。そうすれば、エリアの中のお金と領収書を足した額は、いつも同じになります。

お金+領収書がいつも同じ額のエリア会社の箱⇄財布お店¥お金が出る ↓同額の領収書が戻る ↑

この運用からずれると、領収書はどこかで失われ、税金は戻りません。

クレジットカード利用は注意が必要

クレジットカード利用でも領収書を残す

カードで払ったときに手元に来る紙は2種類ありますが、どちらも金券としては使えません。
金券としてつかえるのは、現金のときと同じく領収書です。

× 券にならない

  • お店で渡される利用控え(クレジット利用伝票)
  • カード会社から届く利用明細

○ 使える

  • お店で出してもらう領収書・レシート

一部広告では、クレジットカード会社の利用明細だけで経費記帳できる雰囲気を出していますが、これは嘘です。税務調査で否認されます。 何を買ったか、税率ごとの金額、インボイス番号といった必要事項の記録が経費には必要で、それが載っているのは領収書だけです。

箱は分ける

きれいな運用を目指すなら、クレジットカードで払った領収書専用の箱もほしいです。
これを作る利点は、先述のお金+領収書のエリアのお金と領収書を足した額が、いつも同じままで運用できること、 クレジットカード領収書の箱を後日、カード利用明細と突き合わられることです。

お金+領収書がいつも同じ額のエリア金額がずれないお店¥お金が出る ↓同額の領収書が戻る ↑
カードで払った領収書の箱お店カード払いの領収書が入る ↑⇅突き合わせ可能カード利用明細

領収書が出ないケース

とはいえ、領収書が出ないケースもあります。その時の対処法を解説します。

ケース①:ご祝儀・香典など

お金+領収書がいつも同じ額のエリア相手出金伝票・日付・金額・相手の名前と住所・内容(誰の祝い・葬儀か)¥お金が出る ↓自分で書く ↑

ご祝儀や香典では領収書は出ません。そのようなときは、出金伝票(ただのメモ紙でOK)に日付・金額・支払い相手の名前と住所・内容を書いて、領収書の代わりにします。 インボイス番号がないので消費税の戻りには使えませんが、十分な理由があれば法人税の戻りには使えます。

ケース②-a:クレカ引き落としの支払(原則)

ネットのサービスを月額で払うサブスクリプションは、紙の領収書が出ません。領収書は、サービスのサイトからダウンロードするか、メールで届きます。
これらWebから届いたPDFは、データのまま取っておく決まりです(電子帳簿保存法)。
パソコンやクラウドに「領収書」のフォルダを作り、会計事務所へはそのフォルダごとデータで渡してください。

ケース②-b:クレカ引き落としの支払(簡略方法)

とはいえ、毎月PDFを探して保存するのは手間です。
そこで、クレジットカード明細から経費にしても税務上問題にならないやり方を設定しました。明細に毎月出る支払いが何の経費かを取り決めて、リストに残しておく方法です。
その運用のためのツールを含め、その方法を以下の特設ページにまとめていますのでご覧ください。

ツールクレジットカードの経費リストカード明細に毎月出る支払いを、何の経費として扱うか取り決めてリストに残せます。よくあるサブスクは、インボイス番号の一覧から引いて登録できます。

取引先との飲食は要注意

取引先との飲食は「交際費」という科目になります。
交際費を経費にするには、相手の会社名・氏名、相手との関係(得意先など)、自社の人も含めた人数がわかるようにしないといけません。 簡単でいいので領収書の裏に書いて箱に入れてください。1人1万円以下なら交際費から外せるのは、このメモがあるときだけです。

解説ページ交際費とは?1人1万円の基準、領収書に書き足すメモ、年800万円の上限、会議費・福利厚生費との分かれ目。解説を読む →

月に一度、精算する

箱の領収書を渡して、同じ額を返してもらう

お金+領収書がいつも同じ額のエリア月に一度会社領収書を渡す ↓¥同じ額が戻る ↑

月に一度くらいのペースで、現金の箱の領収書と出金伝票を合計し、同じ額を会社から返してもらいます。これが精算です。精算が済むと、エリアの中はまたお金だけに戻ります。
社長といえども、会社の一員です。会社から社長個人へお金を移せるのは、役員報酬か、この精算のどちらかです。

社長個人のカードで払った分も、カードの箱の領収書を利用明細と突き合わせて、同じように会社から返してもらいます。会社のカードで払った分は会社の口座から落ちるので、精算は要りません。

会計事務所に送る

精算が済んだら、箱の中身を会計事務所へ送ります。現金の箱・カードの箱・利用明細・「領収書」のフォルダは、分けたまま送ってください。1つにまとめると、どれが現金でどれがカードの支払いかを整理できなくなります。

会計事務所に送るものをまとめると、次のとおりです。

会計事務所に送るもの(分けたまま)

  • 現金の箱(領収書・出金伝票)
  • カードの箱(カード払いの領収書)
  • カード利用明細
  • 「領収書」のフォルダ(PDF)

ここまでやっていただければ、ばっちり会計記帳できます。
やや面倒ですが、法人運営上は、法人の財布≒自身の財布との意識が大切です。

根拠・参考

2026-11-02時点の法令・通達・国税庁の公表資料に基づいて書いています。個別の取引への当てはめは、 事実関係によって結論が変わることがあります。