解説

源泉税とは(源泉徴収の義務と、天引きする支払い)

執筆 公認会計士・税理士 中村勇樹|2026/10/10 時点の法令で確認

要点

  • 源泉税は、払う側のあなたが相手の税を天引き して、代わりに納める税です。
  • ほぼ全ての事業者で支払いが強制されます。
  • 源泉税がでるのは 給料 と、個人への一部の 報酬です。

源泉税とは?

支払側のあなたが代理で納める税です。

給料や報酬を受け取る人の所得税を、払う側が差し引いて納める仕組み。この仕組みを源泉徴収という(所得税法183条・204条)

例えば、以下のような支払いがあります(例:税理士に報酬10万円を支払った)。

税理士への報酬 100,000円

あなた(払う側)
89,790円を払う
税理士
差し引いた10,210円を翌月10日までに納める
税務署

本来100,000円払うところを、相手方(税理士)には89,790円しか払っていません。残りの10,210円は、あなたが相手先に代わって、税務署に納める義務があります。

私も納めるの?

会社と、人を雇う個人事業は、必ず納める

給料や報酬を払う人は、会社でも個人でも源泉徴収義務者になる。個人には例外がある(所得税法6条・184条・204条2項2号)

源泉天引きする事業者は、納める義務があります。なぜならそのお金は税金を預かっているから。 以下の事業者は対象(源泉徴収義務者)になります。

○ 天引きして納める

  • 会社(社長1人の会社も)
  • 従業員を雇う個人事業

× 天引きしなくてよい

  • 従業員のいない個人事業
  • お手伝いさんを2人以下だけ雇う個人

従業員のいない個人事業(フリーランスなど)は、源泉天引きは不要です。逆に、従業員を1人でも雇えば、給料だけでなく税理士への報酬からも天引きします。

どんな支払から源泉するの?

給料と一部の報酬です。

源泉徴収するのは、所得税法が決めた支払いだけ。主なものは給料・賞与(183条)、退職金(199条)、個人に払う報酬・料金(204条)

払うものすべてから天引きするわけではありません。対象は、給料・賞与と、法律で決められた報酬です。

給与・賞与

社員・アルバイト・役員に払う給料と賞与は、すべて対象です。天引きする額は、国税庁の「源泉徴収税額表」で、社会保険料を引いた後の金額と扶養の人数から決まります。 社会保険料を引いた後の月額が105,000円未満なら源泉額は0円です。

報酬

報酬は、個人に払うもののうち、法律で決められた種類についてだけ天引きします。

○ 天引きする報酬

  • 税理士・弁護士・司法書士などへの報酬
  • 原稿料・デザイン料
  • 講演料
  • モデル・芸能人への出演料

× 天引きしない支払い

  • 会社(法人)に払う報酬
  • プログラムの制作
  • 物の代金・修理代

天引きする額は、原則報酬の10.21%です(1回の支払いが100万円を超える部分は20.42%)。請求書で消費税が分けて書いてあれば、税抜の額にかけて構いません。

天引きするかの判定

払うときに、次の順で確かめてください。

  1. Q1

    払う側は会社(法人)?

    はい法人・Q3へ

    いいえ個人・Q2へ

  2. Q2

    Q1が「いいえ」(個人事業)のとき

    従業員に給料を払っている?(お手伝いさん2人以下だけの場合を除く)

    はいQ3へ

    いいえ天引きしない

  3. Q3

    天引きする側のとき

    払うのは給料・賞与?

    はい税額表で天引き

    いいえQ4へ

  4. Q4

    Q3が「いいえ」のとき

    相手は個人で、士業・原稿料・講演料などの報酬?

    はい原則10.21%を天引き

    いいえ天引きしない

天引きしたら、翌月10日までに納める

天引きした月の 翌月10日 までに、納付書を付けて納めます。

払ってから納めるまで、ひと月ほどしかありません。その月に天引きした額を集計して、納付書を書く必要があります。納付書の書き方には、専用サイトを用意しています。

源泉税納付書 作成ツール →金額を入れていくと、納付書のどの欄に何を書くかが分かります。

会計処理

税理士に報酬100,000円(消費税10,000円)を払ったときの仕訳は、次のようになります。

借方金額貸方金額
支払報酬100,000普通預金99,790
仮払消費税10,000預り金10,210

翌月10日までに納めたら、預り金を消します。

借方金額貸方金額
預り金10,210普通預金10,210

根拠

2026-10-10時点の法令・通達・国税庁の公表資料に基づいて書いています。個別の取引への当てはめは、 事実関係によって結論が変わることがあります。